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アレクチニブによる光線過敏症

2021年9月掲載

薬剤 アレクチニブ腫瘍用薬
副作用 光線過敏症
概要 76歳、女性。ALK陽性肺扁平上皮癌に対してアレクチニブを投与し、原疾患はPRで経過していた。同剤を内服し3年間経過したところで、前腕に搔痒を伴う紅斑が出現した。徐々に拡大し、顔面・耳介にはびまん性紅斑を認め、眼瞼浮腫を伴っていた。前頚部・後頚部は衣類に一致して比較的境界明瞭な紅斑であった。紅斑の分布が露光部に限局しており、アレクチニブ内服中であったため光線過敏症を疑い、前腕より皮膚生検を施行した。
病理組織像では、表皮細胞間浮腫、表皮真皮接合部の液状変性、真皮浅層の小血管周囲にリンパ球浸潤を認め、光線過敏症に矛盾しない所見だった。衣類、帽子、手袋ならびにサンスクリーン剤塗布による日光遮断を厳密に行い、抗ヒスタミン薬内服とステロイド外用で紅斑は改善した。遮光を継続することでアレクチニブを休薬することなく、現在も良好な治療効果を得ている。

監修者コメント

ALK阻害薬であるアレクチニブは、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の治療薬として使用されている。本薬剤の副作用として、間質性肺疾患などが報告されているが、本症例のような光線過敏症の報告は稀である。また、遮光と露光部のサンスクリーン剤塗布によって本薬剤の投与を継続出来た点においても示唆に富む1例といえる。

著者(発表者)
望月哲郎ほか
所属施設名
青梅市立総合病院呼吸器内科ほか
表題(演題)
アレクチニブによる光線過敏症の1例
雑誌名(学会名)
第667回 日本内科学会関東地方会 35 (2021)
第667回 日本内科学会関東地方会(2021.3.21)

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