アプレミラストによる抗ラミニンγ1類天疱瘡
2021年9月掲載
薬剤 | アプレミラストその他の代謝性医薬品 |
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副作用 | 抗ラミニンγ1類天疱瘡 |
概要 | 71歳、男性。併存疾患に糖尿病あり。40歳時に尋常性乾癬、66歳時に乾癬性関節炎を発症。前医でアプレミラスト2週間のみ内服歴あり。 70歳時に当科受診し、アプレミラストを再開した。皮疹は改善傾向も、内服再開から約3ヵ月後に躯幹四肢に水疱と紅斑が多発し、口腔内や陰部に潰瘍が出現した。病理組織学的には好中球浸潤を伴う表皮下水疱、蛍光抗体直接法で基底膜部にIgGとC3の線状沈着を認めたため、抗ラミニンγ1類天疱瘡を疑い真皮抽出液を用いた免疫ブロット法を施行した。患者血清は200kDa蛋白との反応を認めた。薬剤誘発性を否定できず、アプレミラストを中止しプレドニゾロンとジアフェニルスルホンで加療開始したところ、約3週間で皮疹は改善した。 |
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ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬であるアプレミラストは、尋常性乾癬や乾癬性関節炎の治療薬として用いられている。炎症性サイトカインの産生を抑え、過剰な炎症反応を抑制することにより、乾癬の症状を改善する薬剤である。本症例は、アプレミラスト内服中に抗ラミニンγ1類天疱瘡を発症した乾癬性関節炎の1例である。抗ラミニンγ1類天疱瘡は乾癬に合併するとされているが、本薬剤との関連を示した報告は稀であり、貴重な症例といえる。
- 著者(発表者)
- 山下千佳紗ほか
- 所属施設名
- 日本生命病院皮膚科ほか
- 表題(演題)
- アプレミラスト内服中に抗ラミニンγ1類天疱瘡を発症した乾癬性関節炎の1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本皮膚科学会雑誌 131(5) 1394 (2021.5)
第120回 日本皮膚科学会総会(2021.6.10-13)
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