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レンバチニブによる十二指腸穿孔

2021年8月掲載

薬剤 レンバチニブ腫瘍用薬
副作用 十二指腸穿孔
概要 67歳、男性。X-1年1月当院糖尿病内科での精査で、肝S5/6に50mm大のHCCの診断となった。TACE施行後よりレンバチニブ投与を開始した。6月、腹部CT検査で肝腫瘍内にairを認めた。腫瘍が壊死を起こし十二指腸に穿破したと考えられ、徐々に腫瘍による通過障害を来したため、レンバチニブを中止し中心静脈栄養を開始した。8月、膿瘍化した腫瘍部にドレナージ施行し、十二指腸ステントを挿入した。一時経口摂取可能となったが、9月に現病の増悪により死亡した。

監修者コメント

レンバチニブは、VEGFR1-3、FGFR1-4、PDGFR-a、KIT、RETなどのがんの細胞増殖や血管新生などに関わる多様なキナーゼを阻害するマルチキナーゼ阻害剤である。根治切除不能な甲状腺がんや肝細胞がんなどに対する治療薬として用いられている。副作用として、高血圧、出血、蛋白尿、手足症候群などが報告されているが、稀に重篤な副作用として、本症例のような腸管穿孔を起こすことが添付文書にも記載されている。腸管穿孔は生命予後に関わる重篤な合併症であるため、投与中は慎重な経過観察を行うことが重要である。

著者(発表者)
佃曜子ほか
所属施設名
菊郷会愛育病院消化器内科ほか
表題(演題)
レンバチニブ投与後に十二指腸穿孔を来した肝細胞癌の一例
雑誌名(学会名)
第128回 日本消化器病学会・第122回 日本消化器内視鏡学会 北海道支部例会 プログラム・抄録集 58 (2021)
第128回 日本消化器病学会北海道支部例会 第122回 日本消化器内視鏡学会北海道支部例会(2021.3.6-7)

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