ヒドロキシクロロキンによる膿疱性乾癬
2021年8月掲載
薬剤 | ヒドロキシクロロキンその他の代謝性医薬品 |
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副作用 | 膿疱性乾癬 |
概要 | 49歳、女性。X-8年に抗核抗体・抗SS-A抗体・抗dsDNA抗体・抗RNP抗体陽性を認めていた。X-6年に自己免疫疾患の関与が疑われ当院に紹介となり、関節炎と血液検査、蛋白漏出シンチグラフィーより全身性エリテマトーデス(SLE)と蛋白漏出性胃腸症の合併と診断した。プレドニゾロン(PSL)で治療を開始し、減量を進めX-3年にPSLは中止できていた。しかしX年1月28日に全身倦怠感・抗dsDNA抗体上昇・低補体血症を認め、SLEの再燃としてPSL、ヒドロキシクロロキン(HCQ)300mg/日を開始した。 3月9日、体幹・四肢・顔面に一部鱗屑を伴う有痛性多形紅斑・発熱が見られるとして受診した。HCQの休薬・ステロイドパルスによる治療で症状は一時的に改善するも、PSL減量に伴い全身の鱗屑・膿疱を伴う紅斑の増悪を認めた。皮膚病理組織で錯角化と表皮内への好中球浸潤を伴う海綿状変化を認め、臨床所見と合わせて膿疱性乾癬(GPP)と診断した。PSLに加えてエトレチナートを開始し、皮疹は改善傾向を認めた。PSL・エトレチナート減量中も皮疹・全身症状は増悪なく経過した。 |
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抗マラリア薬であるHCQは、免疫調節作用を持ち、SLEや皮膚エリテマトーデスの治療に用いられている。HCQの有害事象として、眼障害や中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群などが報告されているが、本症例のようなGPPの発症は稀である。GPPは、急激な発熱とともに全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱が多発する皮膚疾患であり、乾癬の重症型と考えられている。本薬剤を投与する際には、GPPを含む皮膚疾患の合併に注意すべきである。
- 著者(発表者)
- 嶌田勇輝ほか
- 所属施設名
- 京都第一赤十字病院リウマチ・膠原病センター
- 表題(演題)
- ヒドロキシクロロキン(HCQ)投与後に膿疱性乾癬(GPP)を発症した全身性エリテマトーデス(SLE)の1例
- 雑誌名(学会名)
- 第65回 日本リウマチ学会総会・学術集会 プログラム・抄録集 630 (2021)
第65回 日本リウマチ学会総会・学術集会(2021.4.26-5.31)
監修者コメント