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柴胡清肝湯による無菌性膀胱炎

2021年7月掲載

薬剤 柴胡清肝湯漢方製剤
副作用 無菌性膀胱炎
概要 8歳、女児。アトピー性皮膚炎に対し、2年間、柴胡清肝湯を内服中であった。突然の排尿時痛、肉眼的血尿を呈し、膿尿を確認した。急性膀胱炎の診断に対し、6週間の経口抗菌薬治療を受けたが改善しなかったため、当科を紹介受診した。身体所見から、膀胱炎を疑い、尿細菌培養検査をするため、抗菌薬を10日間中止した。しかし、この検査でも菌は検出されず、原因探索目的に腹部超音波検査を行った。この時、膀胱壁に腫瘤を確認した。無菌性膀胱炎、膀胱腫瘤の所見から、漢方薬による薬剤性無菌性膀胱炎を疑った。内服中であった柴胡清肝湯を中止後、排尿時痛は軽快し、検査所見も改善した。内服中止6週間後には、症状と徴候ともに正常化し、膀胱壁の腫瘤も消失した。以降、膀胱炎の再発とアトピー性皮膚炎の悪化はない。

監修者コメント

アトピー性皮膚炎に対する柴胡清肝湯の内服中に、膀胱腫瘤を伴う無菌性膀胱炎を発症した1例である。漢方薬の内服中に無菌性膀胱炎を発症した症例は、本症例以外にも複数の報告がある。医療従事者を含めて、漢方薬は副作用が少なく安全であるというイメージが強いが、本症例のような薬剤性無菌性膀胱炎を含めた副作用が発症する可能性があり、漢方薬においても有害事象が起こり得ることを認識すべきであろう。

著者(発表者)
丸智美ほか
所属施設名
自治医科大学小児科学講座
表題(演題)
柴胡清肝湯内服中に生じた膀胱腫瘤を伴う無菌性膀胱炎の1例
雑誌名(学会名)
小児科臨床74(3) 329-332 (2021.3)
第39回 日本小児腎臓病学会学術集会

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