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イマチニブによるスティーブンス・ジョンソン症候群

2021年7月掲載

薬剤 イマチニブ腫瘍用薬
副作用 スティーブンス・ジョンソン症候群
概要 82歳、男性。X年7月中旬に、経皮的冠動脈形成術後のフォローで撮影した胸部CTで下部食道癌疑いの腫瘤所見を認め、8月中旬に同部位に対しEUS-FNAを施行したところ、Gastrointestinal Stromal Tumor(GIST)の診断となった。8月下旬よりイマチニブ内服による加療を開始した。
9月Y日(第1病日)、前日の夕方より認めていた顔面浮腫の増悪・呼吸の軽度困難を主訴に救急受診し、同日精査加療目的に当科入院となった。第2病日、喉頭蓋・両披裂部浮腫を認めたためStevens-Johnson症候群(SJS)と診断し、ベタメタゾンの点滴を開始した。症状が軽快したため第5病日よりプレドニゾロンの内服に切り替え、第12病日に減量し第13病日に退院となった。現在、外来にてフォロー中である。

監修者コメント

チロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブは、慢性骨髄性白血病、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病、KIT (CD117) 陽性GISTなどの治療に用いられている分子標的薬である。SJSは、主に薬剤などが原因となり、高熱などの症状を伴い、口唇・口腔、眼、外陰部などを含む全身に紅斑、びらん、水疱が多発する重症皮膚疾患である。イマチニブによるSJSは稀ではあるが、本剤の投与中に皮膚や粘膜に異常が認められた場合には、皮膚科専門医と連携しながら迅速に診断・治療を行ことが重要である。

著者(発表者)
水野敬宏ほか
所属施設名
済生会川口総合病院消化器内科ほか
表題(演題)
食道GISTの加療中にスティーブンス・ジョンソン症候群を来した1例
雑誌名(学会名)
第666回 日本内科学会関東地方会 33 (2021)
第666回 日本内科学会関東地方会(2021.2.7)

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