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ベラドンナ総アルカロイドによる薬疹

2014年1月掲載

薬剤 ベラドンナ総アルカロイド一般用医薬品
副作用 薬疹
概要 57歳、女性。市販の鼻炎薬A「クニヒロ®」を内服したところ、同日より全身に発疹、翌日より38℃台の発熱が出現した。当院救急外来で抗ヒスタミン薬とステロイド外用剤を処方されたが、顔面腫脹、皮疹の増悪と40℃台の発熱を認めたため、当科入院となった。顔面・体幹にびまん性の細かい紅斑、顔面・眼瞼の腫脹、軽度頚部リンパ節腫脹を認めたが、口腔粘膜疹は認めなかった。尿検査にて白血球・細菌尿、全身CTにて左腎盂の軽度拡張を認めたため、薬疹と尿路感染症が疑われた。抗菌薬とステロイドの全身投与により軽快した。DLSTにて「クニヒロ®」とその成分であるベラドンナ総アルカロイドに陽性を示し、パッチテストにても強陽性を示したことから、ベラドンナ総アルカロイドによる薬疹と確定した。

監修者コメント

本症例では市販の鼻炎薬A「クニヒロ®」を内服後、全身の発疹、発熱を認めた。DLSTにて「クニヒロ®」とその成分であるベラドンナ総アルカロイドに陽性を示し、パッチテストにても強陽性を示したことから、ベラドンナ総アルカロイドによる薬疹と診断された。ベラドンナは、別名セイヨウハシリドコロとも呼ばれるナス科の草本で、その根茎や根に副交感神経系を抑制する作用を示すアルカロイドを豊富に含んでいる。ベラドンナから抽出されたアルカロイド成分が副交感神経系を抑制し、鼻水・涙液の分泌を減少させる。ベラドンナ総アルカロイドによる薬疹は稀であるが、抗コリン作用を有する各種市販薬に含まれるため注意が必要である。

著者(発表者)
谷冴香ほか
所属施設名
和歌山県立医科大学皮膚科
表題(演題)
市販薬に含まれるベラドンナ総アルカロイドによる薬疹の1例
雑誌名(学会名)
第64回 日本皮膚科学会中部支部学術大会 プログラム・抄録集 198 (2013)
第64回 日本皮膚科学会中部支部学術大会 (2013.11.2-3)

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