デュピルマブによる末梢神経障害
2021年6月掲載
薬剤 | デュピルマブアレルギー用薬 |
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副作用 | 末梢神経障害 |
概要 | 54歳、女性。35歳より咳喘息として加療されていた。52歳時に喘息発作を発症し、その後は気管支喘息として吸入薬や経口ステロイド薬で加療されるも喘息発作を繰り返していた。53歳時にオマリズマブを導入するもコントロールが不良であったため、重症喘息として気管支熱形成術を施行した。一時症状は軽快したが、3ヵ月後に咳症状が増悪したためデュピルマブを導入した。2週間後の2回目投与後より頭痛や左上下肢の腫脹と同部位のしびれが出現した。デュピルマブによる副作用が疑われ投与を中止したところ、徐々に腫脹やしびれは軽減した。一方で喘息症状が悪化したためデュピルマブを再開したところ、同部位のしびれが増悪した。臨床経過からデュピルマブによる末梢神経障害が考えられ、デュピルマブは中止した |
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デュピルマブはヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体であり、難治性の気管支喘息やアトピー性皮膚炎などに対する治療薬として使用されている。神経系の副作用としては頭痛が指摘されているが、本症例のような末梢神経障害の報告はなく、稀な症例といえる。本薬剤の使用中にしびれなどの症状を認めた場合には、副作用として末梢神経障害も考慮する必要がある。
- 著者(発表者)
- 山根真由香ほか
- 所属施設名
- 高知大学医学部呼吸器・アレルギー内科
- 表題(演題)
- 重症喘息に対してデュピルマブ使用中に末梢神経障害を来たした一例
- 雑誌名(学会名)
- 第29回 国際喘息学会日本・北アジア部会 プログラム・抄録集 93 (2020)
第29回 国際喘息学会日本・北アジア部会(2020.12.11-12)
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