エソメプラゾールによる低Mg血症、低K血症、低Ca血症
2021年6月掲載
薬剤 | エソメプラゾール消化器官用薬 |
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副作用 | 低Mg血症、低K血症、低Ca血症 |
概要 | 60歳、女性。X-5年、他院でエソメプラゾール20mgの内服を開始した。2型糖尿病については、シタグリプチンとメトホルミンでHbA1c 6%前後で、他院に通院していた。1ヵ月ほど前より両上下肢のしびれが増悪、1週間前より下肢脱力が出現し、徐々に歩行困難となりX年11月に当院救急搬送となった。 来院時、K 2.4mEq/L、補正Ca 7.5mg/dL、Mg 1.0mg/dLと著明な電解質異常を認めた。各電解質を補正するとともに、プロトンポンプ阻害薬(PPI)による低Mg血症を疑いエソメプラゾールの内服を中止した。補正後、電解質は増悪なく経過し退院となった。 |
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PPIであるエソメプラゾールの投与により、低Mg血症、低K血症、低Ca血症をきたした2型糖尿病の1例である。逆流性食道炎や機能性ディスペプシアなどの疾患の増加に伴い、PPIを内服する患者は今後も増加することが予想される。PPI内服による低Mg血症は稀な副作用ではあるが、しびれや脱力などの症状が認められた場合には、電解質異常も疑い、適切な処置を行うことが重要である。
- 著者(発表者)
- 林幸祐ほか
- 所属施設名
- (社医)三和会永山病院糖尿病内科ほか
- 表題(演題)
- プロトンポンプ阻害薬により低Mg、K、Ca血症をきたしたと考えられた2型糖尿病の1例
- 雑誌名(学会名)
- 第57回 日本糖尿病学会近畿地方会 プログラム・抄録集 134 (2020)
第57回 日本糖尿病学会近畿地方会(2020.10.17-31)
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