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バロキサビルによる横紋筋融解症

2021年5月掲載

薬剤 バロキサビル化学療法剤
副作用 横紋筋融解症
概要 22歳、男性。X年Y月Z-2日、発熱・頭痛・腰痛・筋肉痛を主訴に受診。A型インフルエンザと診断され、バロキサビルを開始したがその後も腰痛・筋肉痛は持続し、Z-1日夜に意識障害も出現したためZ日に再度救急外来を受診した。
採血で肝機能高値に加え、CK 85110IU/L・ミオグロビン11250ng/mLと著明に上昇しており、横紋筋融解症を疑われ緊急入院。MRIで疼痛部位に高信号が見られ、横紋筋融解症を示唆する所見であった。入院後、腎機能・CK等をモニタリングしながら大量輸液を行い、明らかな腎障害は認めず、第15病日にはCKも低下した。腰部・大腿部疼痛も消失したため第19病日に退院となった。

監修者コメント

新たな抗インフルエンザ薬であるバロキサビル(ゾフルーザ®)は、従来の抗インフルエンザ薬とは異なり、エンドヌクレアーゼ阻害によりインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬剤である。本文献では、バロキサビルの投与後に重篤な横紋筋融解症を発症したA型インフルエンザの1例を報告している。同薬剤については、耐性ウイルスの出現なども報告されており、今後も予期せぬ副作用が出現する可能性がある。投与の際は慎重な経過観察が必要である。

著者(発表者)
荒尾悠介ほか
所属施設名
箕面市立病院糖尿病・内分泌代謝内科
表題(演題)
バロキサビル治療後重篤な横紋筋融解症を発症したA型インフルエンザの1例
雑誌名(学会名)
第230回 日本内科学会近畿地方会 56 (2020)
第230回 日本内科学会近畿地方会(2020.12.12)

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