日本脳炎ワクチンによる動眼神経麻痺
2021年5月掲載
薬剤 | 日本脳炎ワクチン生物学的製剤 |
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副作用 | 動眼神経麻痺 |
概要 | 9歳、男児。2019年8月に起床時より霧視と複視を自覚した。初診時、視力は右矯正(1.2)で、右瞳孔極大散瞳、右直接対光反射消失、右内転・下転障害を認めた。所見から動眼神経麻痺を疑い、頭部MRI/MRA検査を行うも、脳腫瘍を含め明らかな頭蓋内病変を認めなかった。鑑別疾患として髄膜炎や急性散在性脳脊髄炎も考えられたが、精査の結果否定的であった。その後さらなる詳細な問診で、発症2日前に日本脳炎ワクチンを接種したことが明らかになり、これが原因として最も考えられた。症状は無治療で徐々に改善し、現在明らかな後遺症は残っていない。 |
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日本脳炎ワクチンの接種後に動眼神経麻痺をきたした小児の1例である。感染症を契機とした小児の動眼神経麻痺や、インフルエンザワクチン接種後の脳神経麻痺の報告は散見されるが、日本脳炎ワクチン接種後の小児の動眼神経麻痺の報告はなく、稀な症例といえる。日本脳炎ワクチンの副反応として、その他にも急性散在性脳脊髄炎や末梢神経障害などがあり、接種後も慎重な経過観察が必要である。
- 著者(発表者)
- 篠原大輔ほか
- 所属施設名
- 東京慈恵会医科大学眼科
- 表題(演題)
- 日本脳炎ワクチン接種後に動眼神経麻痺をきたした小児の1例
- 雑誌名(学会名)
- 神経眼科37(増補1) 68 (2020.11)
第58回 日本神経眼科学会総会(2020.11.6-7)
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