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テノホビルアラフェナミドフマル酸塩によるIgA血管炎

2021年5月掲載

薬剤 テノホビルアラフェナミドフマル酸塩化学療法剤
副作用 IgA血管炎
概要 70歳代、女性。近医にて増大する両側頚部リンパ節腫脹を指摘され、当院耳鼻科に紹介となった。頚部リンパ節生検の術前検査時にHBs抗原陽性を指摘され、内科に紹介となった。以前に母子感染を指摘されていたが肝機能障害なく放置されていた。画像検査にて全身リンパ節腫大を認め、骨髄浸潤も伴っており、頚部リンパ節生検にて血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)と診断された。全身化学療法による治療となることが予想されたため、リンパ節生検後よりテノホビルアラフェナミドフマル酸塩(TAF)を開始とした。服薬開始1週間後両側手足にかゆみを伴う紫斑が多数出現し、皮膚科に紹介された。IgA血管炎が疑われたため、紫斑より皮膚生検を行った。病理組織像や、第ⅩⅢ因子の低下を認めていることから、IgA血管炎が強く疑われた。TAFを中止し、ステロイド内服治療を開始したところ、皮疹は改善・消失した。慢性B型肝炎に対してはエンテカビル(ETV)に変更し、皮疹の再燃はなく経過した。AITLに対してはCHOP療法を8コース行い、CRとなっている。

監修者コメント

B型慢性肝疾患に対する治療薬として、核酸アナログ製剤が主力となっており、薬剤耐性が少ないETVやTAFが第一選択薬として使用されている。特にTAFは長期服薬による腎機能や骨密度への影響が少ないとされている。本症例で出現したIgA血管炎はTAFの服薬が強く関連していると考えられる。稀ではあるが、TAFの投与によりIgA血管炎を発症する可能性があり、注意が必要である。

著者(発表者)
六車隆太郎ほか
所属施設名
徳島市民病院臨床教育センターほか
表題(演題)
テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(TAF)服薬を契機にIgA血管炎が出現した慢性B型肝炎の1例
雑誌名(学会名)
第114回 日本消化器病学会四国支部例会 プログラム・抄録集 65 (2020)
第114回 日本消化器病学会四国支部例会(2020.12.19-20)

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