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メロペネムによる血小板減少症

2021年4月掲載

薬剤 メロペネム抗生物質製剤
副作用 血小板減少症
概要 62歳、女性。関節リウマチの既往があり、近医通院中であった。20XX年5月X日に炎症反応の上昇を認め、胸部単純CTで右膿胸が疑われて当科紹介となった。X日に胸腔ドレーン挿入及び、メロペネム(MEPM)で抗生剤治療を開始した。胸水培養からPasteurella multocidaの検出があり、CRPも改善傾向であった為、抗生剤を第7病日よりABPC/SBTに変更した。しかし、第8病日に急激な血小板低下を認めて、その後も低下傾向は持続し、血小板輸血も行った。薬剤性血小板減少症も考慮して、第9病日に抗生剤はLVFXに変更した。PA-IgGが高値を呈したことから、免疫学的機序による血小板減少症と考えた。また、血小板減少の出現がABPC/SBT投与翌日であることからは、ABPC/SBT以前に投与したMEPMによる薬剤性血小板減少症が疑わしいと考えた。MEPMを中止して9日後には血小板は上昇傾向を示しており、中止後に自然に血小板上昇を認めたことからも、MEPMが被疑薬と考えた。その後は、血小板は再低下なく経過し、血小板数は回復を認めた。

監修者コメント

カルバペネム系抗生物質であるMEPMは、様々な細菌による感染症の治療に用いられる広域抗生物質である。本文献では、Pasteurella multocida膿胸に対して投与されたMEPMにより薬剤性血小板減少症を発症した1例を報告している。MEPMによる薬剤性血小板減少症は比較的稀であるが、本薬剤の投与中は定期的に血液検査を行い、血小板低下などを認めた際には、投与を中止し、別の抗生剤に切り替えるなどの対応が必要である。

著者(発表者)
西山譲幾ほか
所属施設名
大分赤十字病院呼吸器内科
表題(演題)
MEPMによる薬剤性血小板減少症を合併したPasteurella multocida膿胸の1例
雑誌名(学会名)
アレルギー 69(臨増) 306 (2020.10)
XXVII JSA/WAO World Allergy Congress(WAC) 2020 APAPARI Congress 第69回 日本アレルギー学会学術大会(2020.9.17-10.20)

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