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ヒドロモルフォンによる知覚過敏

2021年4月掲載

薬剤 ヒドロモルフォンアルカロイド系麻薬(天然麻薬)
副作用 知覚過敏
概要 50代、女性。2010年7月に本態性血小板血症と診断され、2015年1月には骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍へと移行した。2018年3月ごろから下肢に皮下腫瘤と疼痛が出現。その後経時的に疼痛増強し、8月に発熱と全身の疼痛にて入院し、急性骨髄性白血病(AML)への移行と診断された。AMLに対し治療を行い、11月下旬から緩和ケアチームも介入した。その後2019年1月に再発し、再発と共に疼痛悪化したためオキシコドンを開始し、3月末にAML寛解導入療法を開始した。また、オキシコドンからヒドロモルフォンへスイッチングを行った。AMLは安定しているものの、5月下旬に疼痛が急激に悪化した。ヒドロモルフォンの投与量を徐々に増量するも改善せず、頻回にレスキュー使用するも疼痛はさらに悪化し、NRS10まで上昇した。しかしアセトアミノフェン注500mg投与するとNRS4に改善することからオピオイド誘発性知覚過敏を疑い、メサドンへスイッチングを行った結果、翌日から疼痛改善しNRS2まで低下した。その後はレスキューの使用なくNRS 0-1で推移していった。

監修者コメント

本文献では、オピオイド鎮痛薬であるヒドロモルフォンによるオピオイド誘発性知覚過敏を報告している。オピオイド誘発性知覚過敏とは、オピオイド鎮痛薬を長期間投与することで、痛みの増強(痛覚過敏)を生ずる状態であるが、本薬剤によるものは非常に稀である。我が国における緩和医療の推進に伴い、今後もオピオイド製剤の種類や使用量も増えることが予想される。オピオイドを使用する際は、知覚過敏をはじめとした様々な副作用を念頭において慎重に使用すべきである。

著者(発表者)
杉富行
所属施設名
永寿総合病院薬剤科
表題(演題)
ヒドロモルフォンによるオピオイド誘発性知覚過敏に対しメサドンにスイッチングを行い有効であった造血腫瘍患者の1例
雑誌名(学会名)
日本病院薬剤師会関東ブロック 第50回 学術大会 講演要旨集 169 (2020)
第50回 日本病院薬剤師会関東ブロック学術大会(2020.10.31-11.8)

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