オセルタミビルリン酸塩による肺臓炎
2021年4月掲載
薬剤 | オセルタミビルリン酸塩化学療法剤 |
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副作用 | 肺臓炎 |
概要 | 60歳代、女性。既往に間質性肺炎がある。搬送3日前から38度台の発熱が出現した。呼吸困難感および咳嗽も出現したため前医へ救急搬送されたが、SpO2:89%(O2マスク6L/分投与下)と低値であり対応困難であったため転院搬送となった。搬送時に撮影したCTで広範なすりガラス影を認めていたため、既往から間質性肺炎の急性増悪を疑った。 入院後よりHigh-flow nasal cannula(HFNC)管理、抗菌薬投与およびステロイドパルス療法を開始した。また、搬送10日前に近医で処方されたオセルタミビルカプセル®を内服した後から呼吸症状が増悪したため、薬剤性肺臓炎も鑑別に挙げ薬剤リンパ球刺激試験(DLST)を提出した。治療開始後から症状・画像ともに改善傾向が見られ、第2病日よりHFNCのweaningを開始し酸素需要の軽減を認めた。ステロイドパルス療法終了後も再燃なく経過したため、第7病日に搬送元へ転院となった。転院後にDLST陽性が判明したため、本症例はオセルタミビルカプセル®の薬剤性肺臓炎の可能性があると判断された。 |
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抗インフルエンザウイルス剤であるオセルタミビルカプセル®が原因と考えられる薬剤性肺臓炎の一例である。薬剤性肺臓炎は様々な薬剤が原因となり得るが、本剤が原因と考えられるものは稀である。本症例のように、広範なすりガラス陰影を認めた場合は、薬剤性肺臓炎の可能性も念頭に置き、これまでの薬剤服用歴を確認するとともに、適切な検査および治療を行うことが重要である。
- 著者(発表者)
- 森崇彰ほか
- 所属施設名
- 済生会横浜市東部病院救命救急センター
- 表題(演題)
- オセルタミビルカプセルが原因と考えられる薬剤性肺臓炎の一例
- 雑誌名(学会名)
- 第48回 日本救急医学会総会・学術集会 抄録集(Web) P9-2 (2020)
第48回 日本救急医学会総会・学術集会(2020.11.18-20)
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