せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > ペムブロリズマブによる急性視神経炎

ペムブロリズマブによる急性視神経炎

2021年3月掲載

薬剤 ペムブロリズマブ腫瘍用薬
副作用 急性視神経炎
概要 71歳、男性。術後再発の肺扁平上皮癌に対してペムブロリズマブ療法を行った。腫瘍縮小効果は得られていたが、9コース施行後に右視力の低下を自覚した。矯正視力低下、相対性求心性瞳孔反応欠損などを認め、急性視神経炎と診断された。ペムブロリズマブによる有害事象が疑われ投与を中止した。トリアムシノロンアセトニド経テノン嚢球後注射を単回ずつ両眼に行い、視力は改善がみられ、以降視力低下は認めなかった。その後、左肺舌区の新出病変により病状進行となったが、視神経炎の再燃が懸念されたためペムブロリズマブは再開せず、カルボプラチン+パクリタキセル(アルブミン懸濁型)療法を4コース行い部分奏効となった。

監修者コメント

ヒト化抗PD-1モノクローナル抗体であるペムブロリズマブは、切除不能な進行・再発非小細胞肺癌などに対して抗腫瘍効果を示す一方で、免疫関連有害事象(irAE)が問題となっている。本症例は、術後再発の肺扁平上皮癌に対してペムブロリズマブ療法を行ったところ、急性視神経炎を発症した1例である。ペムブロリズマブの眼関連副作用としてはぶどう膜炎が知られているが、視神経炎は比較的稀である。本薬剤の投与中に急激な視力低下などの症状を認めた場合には、視神経炎の合併も考慮し、適切に対応することが重要である。

著者(発表者)
小川操希ほか
所属施設名
名古屋記念病院呼吸器内科ほか
表題(演題)
ペムブロリズマブ療法後に急性視神経炎を発症した非小細胞肺癌の1例
雑誌名(学会名)
肺癌(e-journal) 60(5) 385-389 (2020.10)

新着文献 一覧

PAGETOP