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レルゴリクスによる糖尿病ケトーシス

2021年3月掲載

薬剤 レルゴリクスホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
副作用 糖尿病ケトーシス
概要 25歳、女性。小児期に急性リンパ性白血病を発症し造血幹細胞移植で寛解している。これまで糖代謝異常の指摘なし。子宮内膜腫瘤の手術が予定され、レルゴリクス内服が開始された。
レルゴリクス内服開始2週間後より、口渇、多飲、多尿、全身倦怠感が出現した。その2日後に血糖958 mg/dL、HbA1c 11.5%、βヒドロキシ酪酸1.0 mmol/Lと高値を認め、糖尿病ケトーシスの診断で入院となった。膵島関連自己抗体は陰性で、空腹時CPR 2.24 ng/mLとインスリン分泌能は十分であり、レルゴリクス内服に伴う糖尿病発症が考えられた。今後の手術予定を念頭に、レルゴリクス内服継続のまま退院した。

監修者コメント

レルゴリクスは本邦初の経口GnRHアンタゴニストであり、子宮筋腫の治療に用いられている。本症例はレルゴリクス内服を契機に糖尿病ケトーシスを発症した1例である。本薬剤は、その作用機序から糖尿病発症のリスクは高いと考えられている。これまでに副作用として糖尿病発症の報告はないが、本症例はその可能性が高いと考えられる。経口GnRHアンタゴニストの有害事象について、今後の更なる症例の蓄積が必要である。

著者(発表者)
中屋一碧ほか
所属施設名
八戸赤十字病院ほか
表題(演題)
レルゴリクス内服を契機として糖尿病ケトーシスを発症した1例
雑誌名(学会名)
日本糖尿病学会 第58回 東北地方会 抄録集 30 (2020)
第58回 日本糖尿病学会東北地方会(2020.11.7-16)

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