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インターフェロンベータ-1bによる二次性巣状分節性糸球体硬化症

2021年3月掲載

薬剤 インターフェロンベータ-1b生物学的製剤
副作用 二次性巣状分節性糸球体硬化症
概要 33歳、女性。多発性硬化症に対し、X-15年からインターフェロンベータ-1b(IFN-β1b)を開始されていた。X-6年10月から第1子の妊娠および授乳のためIFN-β1bを中断され、X-2年5月の第2子出産後より再開された。X-1年6月、およびX年2月に尿蛋白を指摘されたため受診となった。
尿検査で尿蛋白(3+)、随時尿蛋白/Cr: 2.2g/gCrと高度蛋白尿を認めたため、腎生検を施行した。その結果、光学顕微鏡で糸球体総数48個のうち数個に、係蹄腔内に泡沫細胞の充満を認め、分節状の管内増殖性変化像や硝子滴を含む腫大したpodocyteを認めた。電子顕微鏡では足突起の消失はなく、二次性巣状分節性糸球体硬化症(二次性FSGS)と考えられた。
原因薬剤としてIFN-β1bが疑われ、3月11日より中止となった。IFN-β1b中止後速やかに蛋白尿は改善し、4月28日の外来で尿蛋白(-)、随時尿蛋白/Cr: 0.16g/gCrであった。

監修者コメント

多発性硬化症に対して投与されたIFN-β1bにより二次性FSGSを発症した1例である。二次性FSGSを来す要因としては、ウイルス感染・薬剤性・遺伝子変異などがある。薬剤性の中でも、多発性硬化症に対するIFN-β1bによる二次性FSGSは稀であるが、本薬剤の投与中に蛋白尿などの異常を認めた場合には、二次性FSGSの可能性も考慮すべきであろう。

著者(発表者)
眞田彩加ほか
所属施設名
広島大学病院腎臓内科
表題(演題)
インターフェロンベータ-1bにより二次性巣状分節性糸球体硬化症を来した1例
雑誌名(学会名)
第123回 日本内科学会中国地方会 70 (2020)
第123回 日本内科学会中国地方会(2020.10.31)

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