エンパグリフロジンによる間質性腎炎
2021年2月掲載
薬剤 | エンパグリフロジンその他の代謝性医薬品 |
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副作用 | 間質性腎炎 |
概要 | 78歳、女性。近医にて高血圧、脂質代謝異常に対して加療中であり、腎機能は正常であった。X年Y-1月より耐糖能異常を認め、エンパグリフロジンを開始されたが、同年Y月の特定検診で尿蛋白陽性、腎機能障害を指摘され、当院当科紹介となった。初診時に尿細管間質障害を強く疑う所見を認めたため、同年Y+1月に腎生検を施行した。病理所見では、糸球体所見は軽微であり、約70%の領域に尿細管萎縮と間質線維性拡大、リンパ球主体のびまん性の炎症細胞浸潤を認めた。動脈硬化病変は中小動脈には認める一方で、細動脈には乏しかった。エンパグリフロジン以外に新規開始薬剤はなく、腎病理所見と臨床経過から、同薬による薬剤性間質性腎炎が疑われた。同薬中止後は腎機能は改善傾向となったが、十分な改善を得られず、プレドニゾロンの内服を開始している。 |
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SGLT2阻害薬は、尿中に糖を排出することで血糖値を下げる新しい機序の糖尿病治療薬である。本症例は、2型糖尿病治療初期にSGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンにより薬剤性間質性腎炎を発症した1例である。SGLT2阻害薬による間質性腎炎の報告はまだ少ないが、今後もSGLT2阻害薬の処方は増加することが予想されるため、本症例は貴重な1例といえる。
- 著者(発表者)
- 今田悠介ほか
- 所属施設名
- 仙台市立病院内科
- 表題(演題)
- 2型糖尿病治療初期に発症したSGLT2阻害薬関連間質性腎炎の一例
- 雑誌名(学会名)
- The Japanese Journal of Nephrology : 日本腎臓学会誌(e-journal) 62(6) 547 (2020)
第50回 日本腎臓学会東部学術大会(2020.9.26-27)
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