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イキセキズマブによる潰瘍性大腸炎

2021年2月掲載

薬剤 イキセキズマブその他の代謝性医薬品
副作用 潰瘍性大腸炎
概要 43歳、男性。尋常性乾癬に対し、シクロスポリンやアプレミラストの投与を行っていたが病勢のコントロールに苦慮していたため、イキセキズマブを導入した。24週以降は良好な経過であったが、1年3ヵ月の時点で下痢や血便が出現した。消化器内科で精査の結果、下部消化管内視鏡検査、病理検査のいずれも潰瘍性大腸炎に矛盾のない所見を認めた。イキセキズマブの関与を疑い、同薬剤を中止したところ、1ヵ月後より下痢や血便は改善し、中止から2ヵ月後に再検した下部消化管内視鏡検査では消化管所見もほぼ消失した。乾癬に対してはリサンキズマブの投与へと切り替え、現在まで良好な状態を保っている。

監修者コメント

抗IL-17Aモノクローナル抗体製剤であるイキセキズマブは、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬などの治療に用いられている。本症例は、イキセキズマブの投与によって潰瘍性大腸炎様の症状を生じた尋常性乾癬の1例である。本薬剤の有害事象として、稀ではあるが炎症性腸疾患の報告があり、添付文書にもその記載がある。本薬剤の投与中に下痢や血便などの症状を認めた場合には、炎症性腸疾患の合併も考慮すべきである。

著者(発表者)
森田裕介ほか
所属施設名
JR札幌病院
表題(演題)
イキセキズマブの投与によって潰瘍性大腸炎様の症状を生じた尋常性乾癬の1例
雑誌名(学会名)
第100回 北海道医学大会皮膚科分科会(第423回 日本皮膚科学会北海道地方会) プログラム・抄録 15 (2020)
第100回 北海道医学大会(2020) 北海道医学大会皮膚科分科会 第423回 日本皮膚科学会北海道地方会(2020.9.27)

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