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アパルタミド、エンザルタミドによる間質性肺炎

2021年2月掲載

薬剤 アパルタミド腫瘍用薬
エンザルタミド腫瘍用薬
副作用 間質性肺炎
概要 【症例1】81歳、男性。2007年より前立腺癌の診断で放射線治療施行。PSA再発あり、2013年5月よりホルモン療法開始。2019年6月よりアパルタミド開始。倦怠感、呼吸苦にて投与61日後に前医入院し、間質性肺炎の疑いで紹介となり転院。CTで両肺野にびまん性のすりガラス様陰影を認めた。アパルタミドによる薬剤性間質性肺炎が疑われ、同薬の中止およびステロイドパルス療法を施行するも呼吸状態、胸部X-p所見の改善なく、投与開始94日後呼吸不全にて永眠された。
【症例2】80歳、男性。前立腺癌の診断で2014年よりホルモン療法開始となる。2019年10月エンザルタミド120mgを開始。呼吸苦にて投与開始84日後に救急外来を受診し、胸部X-pで心不全の診断となり入院。治療を行うも症状の改善なく、CTにて間質性肺炎と診断。エンザルタミドの関与が疑われ、休薬としステロイドパルス療法を施行した。その後、呼吸症状の増悪、改善を繰り返し、投与開始160日後に永眠された。

監修者コメント

本文献では、アンドロゲン受容体阻害薬であるアパルタミドおよびエンザルタミドによって間質性肺炎を発症した前立腺癌の2症例を紹介している。アパルタミドおよびエンザルタミドは、両者とも2019年11月に厚生労働省による添付文書の「使用上の注意」の改訂指示を受け、「慎重投与」・「重要な基本的注意」・「重大な副作用」の項に間質性肺疾患についての記載が追加されている。頻度は少ないものの、これらの薬剤の投与中に呼吸障害などの症状を認めた場合には、薬剤性間質性肺炎に注意すべきである。

著者(発表者)
前田俊浩ほか
所属施設名
王子総合病院泌尿器科ほか
表題(演題)
Apalutamide/Enzalutamideの関与が疑われる間質性肺炎
雑誌名(学会名)
第100回 北海道医学大会泌尿器科分科会(第410回 日本泌尿器科学会北海道地方会) プログラム・抄録 15 (2020)
第100回 北海道医学大会(2020) 北海道医学大会泌尿器科分科会 第410回 日本泌尿器科学会北海道地方会(2020.9.12)

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