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ニボルマブによる分類不能CD8陽性T細胞リンパ腫

2021年1月掲載

薬剤 ニボルマブ腫瘍用薬
副作用 分類不能CD8陽性T細胞リンパ腫
概要 56歳、男性。約2年前に肺腺癌の診断となり気管内ステント留置、レーザー焼灼の後にCDDP+PEMにて治療を行った。PEM維持療法中にPDとなり、約1年5ヵ月前からニボルマブ投与が開始となった。X年11月に大腸炎を認め、ニボルマブは計33回で中止となった。同時期に血液検査で、白血球数の上昇、異型リンパ球を認め、CT検査では全身リンパ節腫大や脾腫を認めた。骨髄穿刺、左鼠径部リンパ節生検を行い、花弁様細胞様のT細胞が確認された。血清学的にHTLVなどの関与は否定的で、分類不能CD8陽性T細胞リンパ腫の診断となった。近医血液内科へ転院となり、CHOP4コースで部分的に効果が確認されたが、その後リンパ腫が悪化し死亡退院となった。

監修者コメント

免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor: ICI)は、肺癌など様々な癌種で有効性が示されているが、一方で免疫関連有害事象(irAE)などの副作用も報告されている。本症例は、ICIであるニボルマブの投与後に分類不能CD8陽性T細胞リンパ腫を発症した稀な1例である。悪性腫瘍に対するICIの使用の増加に伴い、様々な有害事象も今後増加することが予想される。ICIを使用する際には、慎重な経過観察が必要である。

著者(発表者)
幸田敬悟ほか
所属施設名
浜松ろうさい病院呼吸器内科ほか
表題(演題)
Nivolmab投与後に発症した分類不能CD8陽性T細胞リンパ腫の1例
雑誌名(学会名)
第117回 日本肺癌学会中部支部学術集会 10 (2020)
第117回 日本肺癌学会中部支部学術集会(2020.9.12)

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