オシメルチニブによる不全型中毒性表皮壊死症
2021年1月掲載
薬剤 | オシメルチニブ腫瘍用薬 |
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副作用 | 不全型中毒性表皮壊死症 |
概要 | 80歳、女性。肺腺癌に対する一次治療として、オシメルチニブ80mg内服を導入後、42日目から背部、頸部、顔面など全身に掻痒を伴う紅斑が出現して46日目に受診。オシメルチニブによる薬疹を疑い入院管理とし、同薬を休薬の上で皮膚科へ紹介した。 ステロイド外用薬を処方されるも症状が増悪し、プレドニゾロン内服を開始されたが顔面を中心に水疱・糜爛新生を認め、不全型中毒性表皮壊死症と診断。55日目より免疫グロブリン大量静注療法を開始した。その後症状は改善傾向となり、プレドニゾロンを漸減した。オシメルチニブ投与開始から65日目に退院となった。 |
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オシメルチニブは、T790M変異があるEGFRのチロシンキナーゼ部位を阻害することで、従来のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性の非小細胞肺癌に対して抗腫瘍効果を発揮する薬剤である。主な副作用は他のチロシンキナーゼ阻害薬と同様に間質性肺炎、骨髄抑制、肝機能障害などが報告されているが、本症例のような重症薬疹は稀である。頻度は少ないものの、中毒性表皮壊死症により致死的となる症例もあるため、本薬剤の使用中に薬疹を認めた場合には、適切な治療を行うことが重要である。
- 著者(発表者)
- 立花佑介ほか
- 所属施設名
- 京都第二赤十字病院呼吸器内科ほか
- 表題(演題)
- Osimertinibによる不全型中毒性表皮壊死症を来した一例
- 雑誌名(学会名)
- 日本呼吸器学会誌9(増刊) 310 (2020.8)
第60回 日本呼吸器学会学術講演会(2020.9.20-22)
監修者コメント