フィンゴリモドによる非外傷性急性硬膜外血腫
2020年12月掲載
薬剤 | フィンゴリモドその他の代謝性医薬品 |
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副作用 | 非外傷性急性硬膜外血腫 |
概要 | 27歳、女性。3年前に多発性硬化症を発症し、フィンゴリモド導入後10ヵ月間は臨床的にも画像的にも再発なく経過していたが、突然の前額部痛を訴え当科へ緊急入院した。頭部CTにて、右前頭葉にミッドラインシフトを伴う急性硬膜外血腫を認めた。既往歴、家族歴、血液検査、画像検査上も出血を来すような原因を認めなかった。フィンゴリモドによる血腫形成を疑い投薬中止したが、血腫が消退しなかったため、開頭術にて12gの器質化血腫を除去した。その後、多発性硬化症の疾患修飾薬をフマル酸ジメチルへ変更しているが、再発なく経過している。 |
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フィンゴリモドはスフィンゴシン1リン酸受容体の機能的アンタゴニストとして作用し、再発寛解型多発性硬化症の疾患修飾薬として広く用いられている。本文献では、フィンゴリモドにて治療中に非外傷性急性硬膜外血腫を発症した多発性硬化症の1例を報告している。フィンゴリモドによる非外傷性急性硬膜外血腫の報告はこれまでになく、貴重な症例といえる。
- 著者(発表者)
- 竹内英之ほか
- 所属施設名
- 横浜市立大学神経内科学・脳卒中医学
- 表題(演題)
- フィンゴリモド治療中の多発性硬化症でみられた非外傷性急性硬膜外血腫
- 雑誌名(学会名)
- STROKE 2020 プログラム・抄録集(Web) II-P-P054-1 (2020)
第45回 日本脳卒中学会学術集会 第49回 日本脳卒中の外科学会学術集会 第36回 スパズム・シンポジウム 第7回 日本心血管脳卒中学会学術集会(2020.8.23-9.24)
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