アナストロゾールによるIgA血管炎
2020年12月掲載
薬剤 | アナストロゾール腫瘍用薬 |
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副作用 | IgA血管炎 |
概要 | 82歳、女性。右乳癌の診断で、右乳房部分切除、センチネルリンパ節生検を施行した。術後病理学的診断でホルモン受容体陽性であったため、術後内分泌療法としてアナストロゾール(ANA)内服を開始した。開始後早期は特に有害事象を認めなかったが、内服開始後9ヵ月に両下腿浮腫、上気道炎症状に続き、下肢紫斑、下腹部痛が出現したため、精査目的に当院入院となった。病歴、検査所見から血管炎を疑い、下腿紫斑より皮膚生検を行ったところ、血管壁へのIgAとIgM、C3cの沈着を認め、IgA血管炎と診断した。薬剤性を疑いANA内服を中止したところ、速やかに紫斑が消退、平坦化しはじめ、腹痛も改善した。現在内分泌療法をタモキシフェンに変更し、紫斑の再燃なく無再発生存中である。 |
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高齢者乳癌に対して、術後内分泌療法としてアロマターゼ阻害薬であるANAの内服を開始したところ、IgA血管炎を発症した1例である。IgA血管炎の明確な病因は明らかではないが、薬剤性IgA血管炎の原因薬物として報告されているものは、抗生物質やTNF-α阻害剤、EGFR阻害剤などが多く、乳癌の内分泌療法を契機に発症した症例は稀である。内分泌療法は高齢者乳癌においても比較的安全に施行されているが、治療中に紫斑などの出現を認めた場合は、IgA血管炎の合併も考慮し、適切な処置を行うことが重要である。
- 著者(発表者)
- 野﨑由夏ほか
- 所属施設名
- 市立伊丹病院乳腺外科ほか
- 表題(演題)
- 術後内分泌療法中にIgA血管炎を合併した82歳乳癌の1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本臨床外科学会雑誌 81(7) 1266-1272
第27回 日本乳癌学会学術総会(2019.7)
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