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アピキサバンによる食道炎

2020年10月掲載

薬剤 アピキサバン血液・体液用薬
副作用 食道炎
概要 60歳代、男性。非弁膜症性心房細動に対し、19ヵ月前よりアピキサバンを内服中であった。上腹部不快感の訴えがあり、精査目的に上部消化管内視鏡(EGD)を施行したところ、中部食道から下部食道に縦走するピンク色の薄い膜様付着物を数条認めた。膜様物の色調は、アピキサバン錠と同様のピンク色であり、アピキサバンによる薬剤性食道炎を疑った。そのため、以前より内服中のランソプラゾールは継続した。また、アピキサバンが食道粘膜に停滞することを予防するため、充分量の水で内服すること、内服後30分は座位を維持することなどを服薬指導した。その後上腹部不快感は改善し、21日後のEGD再検ではピンク色の膜様物はほぼ消失しており、粘膜の発赤が軽度残存する程度であった。

監修者コメント

近年、直接経口抗凝固薬(DOAC)が、ワーファリンに代わり、心房細動における脳梗塞予防の第一選択薬として広く使用されている。本文献では、DOACであるアピキサバンが原因と考えられた薬剤性食道炎の1例を報告している。DOACによる薬剤性食道炎として、ダビガトランによる剥離性食道炎が報告されているが、アピキサバンによる薬剤性食道炎はこれまでに報告がない。本症例のようにダビガトラン以外のDOACでも薬剤性食道炎を発症する可能性があるため、DOACを使用する際には、症状の確認を行うとともに、薬剤が食道粘膜に停滞しないように服薬指導を行うことが重要である。

著者(発表者)
清水大輔ほか
所属施設名
広島市民病院内科ほか
表題(演題)
アピキサバンが原因と考えられた薬剤性食道炎の一例
雑誌名(学会名)
第124回 日本消化器内視鏡学会中国支部例会 40 (2020)

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