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ペムブロリズマブによる大腸炎

2020年8月掲載

薬剤 ペムブロリズマブ腫瘍用薬
副作用 大腸炎
概要 62歳、男性。潰瘍性大腸炎の既往はない。肺扁平上皮癌に対する化学療法として、ペムブロリズマブ(1回200mg、3週間毎)が導入された。導入26週後から下痢、粘血便を認め、紹介受診となった。
下部消化管内視鏡検査にて潰瘍性大腸炎に類似する発赤浮腫状粘膜、血管透見の消失、小びらんを認めたが、非連続性であり潰瘍性大腸炎としては否定的であった。内視鏡所見および臨床経過などから、ペムブロリズマブによる大腸炎と診断した。プレドニゾロンの経静脈投与にて治療を開始し、臨床症状、内視鏡所見とも改善した。現在、治療終了後約6ヵ月が経過しているが、大腸炎の再燃はない。

監修者コメント

抗PD-1モノクローナル抗体であるペムブロリズマブは、免疫チェックポイント阻害薬として、様々な癌種で効果をあげているが、免疫関連有害事象(irAE)に注意が必要である。本症例は、肺癌に対するペムブロリズマブの使用中にirAEによる大腸炎を発症した1例である。免疫チェックポイント阻害薬の使用頻度の増加に伴い、irAEによる大腸炎も今後増加してくるものと思われる。免疫チェックポイント阻害薬による治療中に下痢、血便、腹痛などの症状を認めた場合には、本合併症も考慮し、適切な診断や治療を行うことが重要である。

著者(発表者)
山之内智志ほか
所属施設名
島根県立中央病院消化器科ほか
表題(演題)
肺癌に対するペムブロリズマブ使用中に免疫関連有害事象による大腸炎を発症した一例
雑誌名(学会名)
島根県立中央病院医学雑誌 44 27-32 (2019)

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