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ニボルマブ、イピリムマブによる心筋炎

2020年7月掲載

薬剤 ニボルマブ腫瘍用薬
イピリムマブ腫瘍用薬
副作用 心筋炎
概要 70歳代、男性。左腎細胞癌・多発肺転移、気管分岐部転移と診断され、1次治療でニボルマブ240㎎・イピリムマブ60㎎が開始された。Day12に腎障害があり、免疫関連有害事象(irAE)と判断され、同日よりプレドニンが開始された。Day49には肺塞栓が認められ、入院加療にて経過観察となった。Day55に2コース目の投与が行われ、Day49, 54, 56のCPKはそれぞれ179, 201, 262 U/Lであった。Day61の心電図検査にてSTの上昇が発見され、CPKは666 U/Lとなった。Day63の血液検査ではCK、AST、LDH、NT-proBNP値、心筋トロポニンの上昇を認め、同日心筋生検が施行され、心筋irAEと診断され、Day63よりステロイドパルス療法を施行し、プレドニン投与を行った。その後、CK値は減少、Day98の心生検にて炎症細胞浸潤は軽快した。

監修者コメント

近年、免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1モノクローナル抗体のニボルマブと抗CTLA-4モノクローナル抗体のイピリムマブの併用療法が悪性黒色腫や腎細胞癌に対する治療として行われている。本症例は、進行性腎細胞癌に対してニボルマブ・イピリムマブ併用療法を施行したところ、免疫関連有害事象(irAE)と考えられる心筋炎を発症した1例である。本併用療法における心筋炎の発症は稀ではあるが、致死率の高い有害事象であるため、治療中は慎重な経過観察が必要である。

著者(発表者)
田井達也ほか
所属施設名
香川大学医学部附属病院薬剤部ほか
表題(演題)
当院におけるニボルマブ・イピリムマブ併用療法によって心筋炎を発症した進行性腎細胞癌患者の一例報告
雑誌名(学会名)
日本臨床腫瘍薬学会学術大会 2020 抄録集(Web) P-210 (2020)
2020 日本臨床腫瘍薬学会学術大会 (2020.3.21-22)

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