ペムブロリズマブによる硬化性胆管炎
2020年6月掲載
薬剤 | ペムブロリズマブ腫瘍用薬 |
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副作用 | 硬化性胆管炎 |
概要 | 76歳、女性。4ヵ月前から肺小細胞癌に対しペムブロリズマブ200 mg+ペメトレキセド540 mgで加療を開始した。4投目投与後、倦怠感・食思不振を主訴に近医を受診し、血液検査より肝胆道系酵素の上昇を認めた。精査加療目的で転院となり、入院時の採決でγGTP 1004、ALP 2020と著明な上昇、AST/ALTの上昇(174/160)を認めた。抗核抗体、抗M2抗体や他のウイルスマーカーは陰性で、総胆管拡張・びまん性の胆管壁肥厚はあるが結石や閉塞起点はなく、ペムブロリズマブによる免疫関連有害事象の硬化性胆管炎と診断された。 プレドニゾロン 45 mg(1 mg/kg)投与が開始され、肝胆道系酵素の改善に伴い、1週に5 mgのペースで漸減された。 |
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抗PD-1モノクローナル抗体であるペムブロリズマブは、免疫チェックポイント阻害薬の1つであり、悪性黒色腫や肺癌などの治療薬として使用されている。本症例では、肺癌に対してペムブロリズマブを投与したところ、免疫関連有害事象(irAE)である硬化性胆管炎を発症した。免疫チェックポイント阻害薬による治療を受ける患者は今後も増加することが予想され、それと共にirAEの発症も増加すると考えられる。irAEによる硬化性胆管炎は稀ではあるが、免疫チェックポイント阻害薬の投与中に肝胆道系酵素の上昇を認めた場合には、本疾患も疑い、適切な診断・治療を行うことが重要である。
- 著者(発表者)
- 松浦賢史ほか
- 所属施設名
- 京都大学医学部医学科
- 表題(演題)
- 肺小細胞癌治療中に発症したPembrolizumabによる硬化性胆管炎の一例
- 雑誌名(学会名)
- 第103回 日本消化器内視鏡学会近畿支部例会 プログラム・抄録集 90 (2020)
第103回 日本消化器内視鏡学会近畿支部例会 (2020.1.18)
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