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免疫グロブリンによる溶血性貧血

2020年3月掲載

薬剤 免疫グロブリン生物学的製剤
副作用 溶血性貧血
概要 3歳10ヵ月、女児。血液型はAB型Rh(+)であった。川崎病に対して、第5病日および第8病日に免疫グロブリン静注(IVIG)を合計4g/kg実施した。第9病日以降は解熱し、冠動脈病変は伴わなかった。第11病日に軽度貧血と発熱を認めるも、川崎病症状の再燃なく速やかに解熱したが、第14病日に再度発熱し同日に解熱した。第15病日に顔色不良と貧血を認め再入院した。入院後にヘモグロビンは自然に上昇傾向となり、第19病日に退院した。貧血は網赤血球数増加、血清間接ビリルビン値上昇、血清ハプトグロビン高値を伴う正球性正色素性貧血で、直接クームス試験陽性、不規則抗体陰性だった。精査の結果、製剤由来の抗A・抗B血液型抗体による溶血性貧血と診断した。

監修者コメント

本症例は、血液型AB型の川崎病の女児に対して、免疫グロブリン静注療法を行ったところ、溶血性貧血を発症した1例である。免疫グロブリン製剤は抗Aおよび抗B抗体を含有し、血液型がO型以外の患者に大量投与するとまれに溶血性貧血を起こすことがあり、添付文書でも注意喚起されている。O型以外の患者に免疫グロブリンを大量投与する際には、溶血性貧血のリスクに注意すべきである。

著者(発表者)
籏生なおみほか
所属施設名
国立病院機構東京医療センター小児科ほか
表題(演題)
免疫グロブリン静注療法後に、製剤由来の抗A抗B抗体による溶血性貧血を発症した一例
雑誌名(学会名)
第39回 日本川崎病学会・学術集会 プログラム・抄録集 122 (2019)
第39回 日本川崎病学会・学術集会 (2019.10.25-26)

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