せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > デュロキセチンによる抗利尿ホルモン不適合分泌症候群

デュロキセチンによる抗利尿ホルモン不適合分泌症候群

2020年3月掲載

薬剤 デュロキセチン中枢神経用薬
副作用 抗利尿ホルモン不適切分泌症候群
概要 72歳、女性。X-4日に腰痛で当院整形外科を受診し、腰椎すべり症としてデュロキセチンが新規に処方され、X-2日から内服を開始した。X日未明に両側下肢のしびれと振戦のため当院を受診した。いずれも以前から繰り返していた症状であったが増悪しており、血液検査において血清Na 118mmol/Lと低Na血症を認め、痙攣も発症した。血清浸透圧も241mOsm/kgと低値、尿浸透圧558mOsm/kg、尿中Na86mmol/Lと高値であった。デュロキセチンの内服開始から間もないことから薬剤性抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の可能性が高いと判断した。デュロキセチンの内服を中止し、高張食塩水の点滴静注、500mL/日の飲水制限により血清Naは徐々に上昇し、最終的には 140mmol/Lまで改善した。また、入院時に脱水所見を認めず、ADH13.6pg/mLと高値であり、腎機能や副腎皮質機能や甲状腺機能の低下は認めなかったことより、SIADHと診断した。デュロキセチン中止により速やかに改善を認めたことから、デュロキセチンによる薬剤性SIADHと診断した。

監修者コメント

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤であるデュロキセチンは、うつ病や慢性腰痛症などに伴う疼痛に対して使用されている。本症例は、デュロキセチンの投与後に低Na血症を発症したことから、薬剤性SIADHの診断に至った1例である。SIADHとは、抗利尿ホルモンが異常に産生され、低ナトリウム血症を来す疾患である。原因として、呼吸器疾患、頭蓋内疾患、悪性腫瘍や薬剤性などが報告されている。デュロキセチンによる薬剤性SIADHの報告は少なく、稀ではあるが、本薬剤の投与中は慎重な経過観察を行う必要がある。

著者(発表者)
倉石貴文ほか
所属施設名
岡谷市民病院糖尿病・内分泌代謝内科ほか
表題(演題)
デュロキセチンによる薬剤性SIADHを発症した1例
雑誌名(学会名)
第145回 日本内科学会信越地方会 39 (2019)
第145回 日本内科学会信越地方会 (2019.10.12)

新着文献 一覧

PAGETOP