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イキサゾミブによるSweet症候群

2020年1月掲載

薬剤 イキサゾミブ腫瘍用薬
副作用 Sweet症候群
概要 68歳、男性。X-1年5月、多発性骨髄腫に対してボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメタゾン(VRD)療法6コースまで行い、11月に大量メルファランを前処置として自己末梢血幹細胞移植を施行した。治療効果はVGPRであったため地固め療法を行うことし、X年2月にイキサゾミブ、レナリドミド、デキサメサゾン(IRd)療法を開始した。有害事象なく経過したが、3月上旬にIRd療法2コース目を開始したところ、day2より発熱、体幹、顔面に結節性紅斑が出現し、徐々に拡大した。IRd療法は中止とし、生検を行ったところSweet症候群に矛盾しない所見であった。ロキシスロマイシン内服とステロイド外用により皮疹は消退傾向となった。レナリドミドを除いたId療法で治療を再開するも2コース目day12より再度発熱、結節性紅斑が出現したためイキサゾミブは中止した。ステロイド外用とプレドニゾロン内服により皮疹は鎮静化した。

監修者コメント

プロテアソーム阻害剤であるイキサゾミブは、再発または難治性の多発性骨髄腫に対する治療薬として使用されている。本症例は、イキサゾミブの投与によりSweet 症候群を発症した多発性骨髄腫の一例である。Sweet 症候群は急性熱性好中球性皮膚症ともよばれ、圧痛と硬結を伴う暗赤色の丘疹および局面を特徴とし、真皮上層には著明な浮腫が生じ、密な好中球浸潤が認められる。プロテアソーム阻害剤によるSweet症候群はボルテゾミブでは多数報告があるが、イキサゾミブでは稀である。イキサゾミブ投与中に発熱を伴う結節性紅斑が出現した際にはSweet症候群も考慮し、皮膚科との連携による診断・治療が必要である。

著者(発表者)
宇野広隆ほか
所属施設名
日立総合病院内科ほか
表題(演題)
イキサゾミブによりSweet症候群を発症した1例
雑誌名(学会名)
第653回 日本内科学会関東地方会 26 (2019)
第653回 日本内科学会関東地方会 (2019.9.14)

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