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メサラジンによる心膜心筋炎

2019年12月掲載

薬剤 メサラジン消化器官用薬
副作用 心膜心筋炎
概要 39歳、男性。X年2月より皮膚科に結節性紅斑で入院歴があり、一時ステロイドを使用していたが症状改善傾向となったため中止し経過観察となっていた。X年7月より発熱、下痢症状を認め、当科を受診した。7月20日に施行した下部消化管内視鏡施行で直腸から盲腸まで連続するびまん性の発赤、びらん、潰瘍を認め、病理像も潰瘍性大腸炎(UC)と矛盾せず、7月20日よりメサラジン(リアルダ®️)の内服を開始した。症状は改善傾向であったが、28日より発熱を認め、下部消化管内視鏡を再検したところ、腸炎は改善傾向であったが、発熱は改善しなかった。 8月2日に胸痛があり、心電図でI、II、III、aVF、V4-6にST上昇を認め、トロポニンも上昇していた。薬剤性心膜心筋炎を疑い、6日よりPSLを開始し、7日にメサラジンの投与を中止したところ、解熱・炎症反応の改善を認めた。

監修者コメント

潰瘍性大腸炎に対するメサラジン投与中に発症した薬剤性心膜心筋炎の1例である。頻度は少ないものの、本薬剤の添付文書にも、重大な副作用として、心膜炎、心筋炎、胸膜炎が記載されている。潰瘍性大腸炎の寛解導入・維持目的に対しては、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤、特にメサラジンが第一選択薬となっている。メサラジンの頻度の高い副作用として頭痛や嘔気などが知られているが、本薬剤の内服後に胸痛、息切れ、発熱などの症状を認めた場合には、本合併症を考慮する必要がある。

著者(発表者)
小黒詩織ほか
所属施設名
東京警察病院消化器科
表題(演題)
潰瘍性大腸炎に対しメサラジン投与中に薬剤性心膜心筋炎を発症した1例
雑誌名(学会名)
日本消化器病学会関東支部 第355回 例会 プログラム・抄録集 27 (2019)
第355回 日本消化器病学会関東支部例会 (2019.7.13)

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