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青黛による虚血性小腸炎

2019年11月掲載

薬剤 青黛その他
副作用 虚血性小腸炎
概要 60歳代、女性。全大腸炎型の潰瘍性大腸炎(UC)と診断され、主にメサラジンによる維持療法を継続していた。再燃を契機に、近医クリニックで青黛を含む漢方の内服を開始した。血便・下痢症状は改善したが、開始から約3週間後に嘔吐・下痢が出現し、腹部CTで小腸炎と診断され保存的加療が行われた。一旦改善したが、小腸狭窄による腸閉塞を併発し転院となった。イレウス管から行ったガストログラフィン小腸造影で約10cmに及ぶ管状の両側性狭窄を認め、虚血性小腸炎による狭窄と診断、腹腔鏡下小腸部分切除術が施行された。病理組織像では周囲上皮の再生性変化を伴う粘膜固有層に達する潰瘍を認め、粘膜下には炎症性肉芽組織および炎症細胞浸潤を伴っており、虚血性小腸炎に矛盾しない所見であった。

監修者コメント

青黛とは、リュウキュウアイやホソバタイセイなどの植物から得られる成分で、中国では生薬などとして、国内でも染料(藍)や健康食品などで用いられている。特に近年は潰瘍性大腸炎に対する有効性が報告されているが、一方で様々な副作用も報告されている。副作用として、肺動脈性高血圧症、腸重積、虚血性大腸炎などが報告されているが、本症例のように小腸に虚血性腸炎を発症した症例はなく、貴重な症例といえる。

著者(発表者)
高砂健ほか
所属施設名
広島大学病院消化器代謝内科ほか
表題(演題)
青黛を含む漢方薬を内服中に虚血性小腸炎を発症した潰瘍性大腸炎の1例
雑誌名(学会名)
第122回 日本消化器内視鏡学会中国支部例会 プログラム・抄録集 53 (2019)
第122回 日本消化器内視鏡学会中国支部例会 (2019.6.30)

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