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ペムブロリズマブによる片側性ぶどう膜炎

2019年11月掲載

薬剤 ペムブロリズマブ腫瘍用薬
副作用 片側性ぶどう膜炎
概要 52歳、女性。IVB期の未治療進行非小細胞肺癌に対し、1次治療としてペムブロリズマブ200mg(3週間毎)投与を開始した。9日目に左眼の疼痛と眼球結膜充血を認め、片側性であったことから細菌性結膜炎を疑い、レボフロキサシン点眼を開始した。しかし、症状は改善せず、眼科での精査で左眼の毛様充血、水晶体前面のフィブリン沈着、虹彩後癒着と診断された。また、細隙灯でも前房内に多くの炎症細胞を認め、Grade 2の前部ぶどう膜炎(虹彩毛様体炎)と診断された。梅毒、結核の可能性が低いと判断し、ステロイド点眼を開始したところ、毛様充血と前眼部炎症は速やかに消失した。虹彩後癒着の軽度残存以外に特記すべき所見はなく、点眼薬の漸減を行った。ペムブロリズマブ投与は継続しているが、7ヵ月経過した現在も再発は認められていない。

監修者コメント

免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブは、悪性黒色腫や切除不能な進行・再発非小細胞肺癌などの治療薬として用いられているが、自己免疫の賦活化に伴う免疫関連有害事象(irAE)が報告されている。本症例は、ペムブロリズマブの投与により片側性ぶどう膜炎を発症した非小細胞肺癌の1例である。irAEの1つとしてぶどう膜炎が報告されているが、多くの症例は両眼性であり、本症例のように片側性での発症は稀である。免疫チェックポイント阻害薬投与中に眼症状が出現した場合は、片側性であってもirAEによるぶどう膜炎の可能性を考慮する必要がある。

著者(発表者)
北台留衣ほか
所属施設名
がん・感染症センター都立駒込病院呼吸器内科
表題(演題)
ペムブロリズマブによる片側性ぶどう膜炎をきたした非小細胞肺癌の1例
雑誌名(学会名)
肺癌 59 (3) 265-269 (2019.6)

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