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レボフロキサシンによる溶血性貧血

2013年12月掲載

薬剤 レボフロキサシン化学療法剤
副作用 溶血性貧血
概要 69歳、男性。近医にて腸間膜リンパ節炎と診断され、レボフロキサシン(LVFX)、ラベプラゾール(RPZ)を2日間投与されたが改善せず、当院に入院した。入院時、LVFXをセフメタゾール(CMZ)に変更した。入院3病日、Hb 6.7g/dL、T.Bil 7.5mg/dL、LDH 1353U/L、AST 82U/L、4病日Hpt 5mg/dLであり、溶血性貧血の所見を認めた。5病日Hb 3.8g/dLと溶血性貧血が進行したため、mPSL 500mgを3日間投与し、以後mPSL内服を漸減投与したところ、貧血は徐々に改善した。43病日にLVFX、CMZ、PRZについて薬剤リンパ球刺激試験を実施した結果、LVFXに対し陽性(S.I.2.0)であり、溶血性貧血の原因薬剤と推定された。

監修者コメント

ニューキノロン系抗生剤であるレボフロキサシン(LVFX:クラビット®)は各種感染症に対する治療薬として広く使用されている。本症例では腸間膜リンパ節炎に対し、LVFXを含む抗生剤を用いて治療を行ったところ、溶血性貧血の所見を認め、Hbは3.8 g/dLまで低下した。抗生剤の変更とPSLの投与にて改善し、薬剤リンパ球刺激試験にてLVFXに対し陽性を認めたため、LVFXによる自己免疫型薬剤性溶血性貧血と診断された。LVFXによる溶血性貧血は稀であるが、本症例のように重篤化する可能性がある。 LVFX投与時に溶血性貧血に遭遇した際は、本薬剤による薬剤性溶血性貧血の可能性を念頭に置く必要がある。

著者(発表者)
土手内靖ほか
所属施設名
松山赤十字病院検査部ほか
表題(演題)
Levofloxacinによる自己免疫型薬剤性溶血性貧血の1例
雑誌名(学会名)
第58回 日本輸血・細胞治療学会中国四国支部例会 プログラムおよび講演抄録集 17 (2013)
第58回 日本輸血・細胞治療学会中国四国支部例会 (2013.9.28)

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