ダブラフェニブ・トラメチニブによる横紋筋融解症
2019年11月掲載
薬剤 | ダブラフェニブ腫瘍用薬 トラメチニブ腫瘍用薬 ニボルマブ腫瘍用薬 |
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副作用 | 横紋筋融解症 |
概要 | 70 歳、女性。2013 年に下口唇悪性黒色腫および頚部リンパ節転移に対して、皮膚腫瘍切除術および頚部リンパ節郭清術、DAV-feron療法を施行した。初診から 3 年後に小腸転移による腸重積症を発症し、小腸部分切除を施行の上、ニボルマブ投与を開始するも3ヵ月経過した時点で肝転移・腹腔内転移を来したため、PD と判断し中止とした。BRAFV600E変異が陽性であったことから、ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法を開始した。開始から 2 週間後に悪寒戦慄を伴う発熱があり、精査加療目的に入院とした。血液検査にて著明なクレアチンキナーゼの上昇、尿検査にてミオグロビン尿を認めたため、横紋筋融解症と診断した。ダブラフェニブ・トラメチニブ中止の上、輸液を行い症状は治癒した。その後、ダブラフェニブのみ減量して再開するも症状の再燃はなく、今回の横紋筋融解症はトラメチニブによる副作用と考えた。 |
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近年、BRAF遺伝子変異陽性の切除不能な悪性黒色腫に対し、BRAF阻害剤やMEK阻害剤が使用されており、BRAF阻害剤であるダブラフェニブとMEK阻害剤であるトラメチニブの併用療法が行われている。本症例は、ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法により、横紋筋融解症を発症した悪性黒色腫の1例である。これまでの報告や、その後の経過などから、横紋筋融解症はトラメチニブによる副作用と考えられている。今後、悪性黒色腫に対する全身療法の選択肢が増えることが予想され、副作用に対してもより慎重な経過観察が必要である。
- 著者(発表者)
- 村中友加里ほか
- 所属施設名
- 佐賀大学医学部内科学皮膚科
- 表題(演題)
- ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法により横紋筋融解症を来した悪性黒色腫の1例
- 雑誌名(学会名)
- 西日本皮膚科 81(3) 192-195 (2019.6)
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