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アピキサバンによる後天性第V因子インヒビター出現

2019年10月掲載

薬剤 アピキサバン血液・体液用薬
副作用 後天性第V因子インヒビター
概要 76歳、男性。狭心症・右内頚動脈狭窄症に対するステント留置術後で、アスピリンとクロピドグレルを内服中であった。また、狭心症に対する経皮的冠動脈ステント留置術後に心原性脳梗塞を併発し、アピキサバンも追加されていた。今回、転倒を契機に筋肉内出血と皮下出血を来し、APTT 242.5秒、測定不能なPT延長を指摘された。アピキサバンによる出血が疑われ、内服薬をすべて中止したものの、出血傾向やAPTT・PTは改善しなかった。クロスミキシングテストを行った結果、第V因子活性1%未満、第V因子インヒビター8.0 BU/mLで、後天性第V因子インヒビターと診断された。プレドニゾロン20 mg/日を開始し、約1ヵ月でAPTT・PTは正常化した。

監修者コメント

後天性第V因子インヒビターは自己免疫疾患、悪性腫瘍や抗菌薬投与などが原因となり、抗第V因子抗体が出現し、易出血性をきたす稀な疾患である。直接経口抗凝固薬(DOAC)内服例での後天性第V因子インヒビターの発症は、トロンビン阻害薬であるダビガトランでは報告があるが、本症例のようなXa因子阻害薬であるアピキサバンでは報告がなく、稀な一例と言える。

著者(発表者)
栩野祐一ほか
所属施設名
和歌山県立医科大学血液内科ほか
表題(演題)
アピキサバン内服中に四肢皮下出血で発症した後天性第V因子インヒビター
雑誌名(学会名)
日本血栓止血学会誌 30 (2) 444 (2019.5)
第41回 日本血栓止血学会学術集会 (2019.6.20-22)

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