メトトレキサートによる肺炎、リンパ増殖性疾患
2019年9月掲載
薬剤 | メトトレキサートその他の代謝性医薬品 |
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副作用 | 肺炎、リンパ増殖性疾患 |
概要 | 69歳、男性。関節リウマチ(RA)で4年前よりメトトレキサート(MTX)治療中であった。3ヵ月前より発熱、労作時息切れ、倦怠感を自覚し、近医での胸部CTでびまん性の微細粒状影を指摘され、当院入院となった。胸部CTではびまん性粟粒影と胸膜直下に散在する結節影を、経気管支肺生検(TBLB)で肺胞腔内器質化と肉芽腫を認め、MTX肺炎と診断した。また、耳下腺腫大、咽頭腫瘤あり、咽頭生検でEpstein-Barr virus-encoded RNA-1(EBER-1)陽性の大型細胞が混じるポリクローナルなリンパ球系細胞の浸潤を認め、リンパ増殖性疾患(LPD)を疑った。MTX中止のみで経過を見たところ両病変とも改善し、臨床的にMTX-LPDを同時合併していたと診断した。 |
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葉酸代謝拮抗薬であるMTXはRAに対する第1選択薬として広く使用されているが、副作用として薬剤性肺炎、感染症、LPDなどが報告されている。本症例は、RAに対する MTX治療中に、MTX肺炎ならびにMTX関連LPDを同時発症した稀な1例である。MTX肺炎とMTX関連LPDでは病態が異なると考えられており、今後の症例の蓄積により、副作用の発症機序が解明されることが期待される。
- 著者(発表者)
- 後町杏子ほか
- 所属施設名
- 独立行政法人国立病院機構東京病院呼吸器センターほか
- 表題(演題)
- メトトレキサート肺炎/関連リンパ増殖性疾患を同時発症した関節リウマチの1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本呼吸器学会誌 8(2) 123-127 (2019.3)
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