ドセタキセルによる抗RNAポリメラーゼIII抗体陽性びまん皮膚硬化型全身性強皮症
2019年9月掲載
薬剤 | ドセタキセル腫瘍用薬 |
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副作用 | 抗RNAポリメラーゼIII抗体陽性びまん皮膚硬化型全身性強皮症 |
概要 | 41歳、女性。当院初診3年2ヵ月前に乳癌に対しドセタキセル治療を受け、2年7ヵ月前に乳房温存術および放射線照射を受けた。2年前より右上肢リンパ浮腫を生じ、浮腫は左上肢、頸部に拡大した。1年10ヵ月前から両上肢、両手部の皮膚硬化が進行、関節拘縮へ発展し、6ヵ月前からRaynaud現象、開口障害が出現し、当科を受診した。入院時の抗RNAポリメラーゼIII抗体は陽性であり、びまん皮膚硬化型全身性強皮症と診断し、入院の上、プレドニゾロン内服とエナラプリルを開始、進行する皮膚症状の改善目的にステロイドパルスを追加したところ、関節拘縮が改善した。24ヵ月の時点で両前腕以遠の皮膚硬化は残存するも、体幹及び下肢の皮膚硬化は消失し、開口障害の改善を認めた。 |
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近年、タキサン系抗癌剤による強皮症発症例が報告されている。タキサン誘発皮膚硬化では、多くの症例が四肢に発症し、Raynaud現象などは伴わずに強皮症特異抗体も陰性となることが報告されている。本症例はドセタキセル治療後に、上腕、前腕に浮腫、皮膚硬化を強く認めており、一般の強皮症の末梢から体幹に拡がる皮膚硬化パターンと異なるため、ドセタキセル誘発皮膚硬化と考えられている。一方、抗RNAポリメラーゼIII抗体が陽性であり、皮膚硬化進行後にRaynaud現象を認めた経過から、一般的な全身性強皮症の特徴を併せもつようになった稀な一例と考えられる。
- 著者(発表者)
- 矢部寛樹ほか
- 所属施設名
- 自治医科大学附属さいたま医療センターリウマチ膠原病科ほか
- 表題(演題)
- 乳癌に対するドセタキセル治療後に発症した抗RNAポリメラーゼIII抗体陽性びまん皮膚硬化型全身性強皮症の一例
- 雑誌名(学会名)
- 自治医科大学紀要 41 61-66 (2018)
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