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リドカイン・プロピトカイン配合クリーム(エムラ®)による中毒性メトヘモグロビン血症

2019年8月掲載

薬剤 リドカイン・プロピトカイン配合クリーム末梢神経系用剤
副作用 中毒性メトヘモグロビン血症
概要 1ヵ月、女児。血管腫に対するレーザー照射療法施行目的で受診した。リドカイン・プロピトカイン配合クリーム(エムラ®)約2 gを塗布した115分後に全身チアノーゼを認め、SpO2は80 %台、全身硬直性痙攣発作も出現した。抗痙攣薬(ミダゾラム計0.3 mg/kg、ホスフェニトイン 22.5 mg/kg)、気管挿管の上、搬送となった。血液ガス分析でMetHb 47.6 %と異常高値をみとめ、メトヘモグロビン血症と診断した。メチルチオニニウム(メチレンブルー®)0.4 mg/kgを緩徐静注したところ、速やかに血中濃度は低下した。翌日の頭部MRI検査や脳波検査で異常はなく、第6病日に退院となった。

監修者コメント

外用局所麻酔薬であるリドカイン・プロピトカイン配合クリーム(EMLA®️クリーム)は、皮膚レーザー照射療法や注射針・静脈留置針穿刺時の疼痛緩和目的に使用されている。本文献では、生後1ヶ月の女児に対して本剤を塗布したところ、中毒性メトヘモグロビン血症をきたした1例を報告している。本剤の添付文書にも重大な副作用としてメトヘモグロビン血症が記載されている。本剤の投与中にチアノーゼなどの症状が認められた場合には、投与を直ちに中止し、メチレンブルーを投与するなど、適切な処置を行うことが重要である。

著者(発表者)
金子尚樹ほか
所属施設名
藤沢市民病院小児科ほか
表題(演題)
リドカイン・プロピトカイン配合クリームにより中毒性メトヘモグロビン血症をきたした乳児例
雑誌名(学会名)
日本集中治療医学会雑誌 26(2) 111-114 (2019.3)
第45回 日本集中治療医学会学術集会 (2018)

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