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リネゾリドによる低ナトリウム血症、痙攣

2019年7月掲載

薬剤 リネゾリド化学療法剤
副作用 低ナトリウム血症、痙攣
概要 82 歳、男性。上腸間膜動脈閉塞症のため小腸部分切除を行った。術後に炎症が遷延し、術後感染も念頭にバンコマイシンの投与が開始されたが、退院のため経口のリネゾリド(LZD)(600 mg×2/day) に切り替えられた。投与開始時より高度腎機能障害を有していた。腎機能低下に伴い、トラフ濃度は高値 (30.3~34.3 μg/mL) で推移した。投与開始18 日後に低ナトリウム血症 (139.4 mEq/L (LZD 投与前) →116.0 mEq/L) による痙攣を発症し、LZD の副作用と判断され同剤は中止された。また、血小板値とヘモグロビン値はLZD 投与前と比べそれぞれ42%と29%と低下していたが、LZD 中止後、血小板数、ヘモグロビン値ともに改善した。

監修者コメント

LZD(ザイボックス®)はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症に用いられる抗菌薬である。本症例は、LZDの投与により、低ナトリウム血症から痙攣を発症した一例である。本症例のように高齢で体格も小さく、高度腎機能障害を認める患者では、通常のLZD 投与量でもトラフ値が高くなる傾向を示すため、血小板減少や貧血などの血液毒性だけではなく、低ナトリウム血症とそれに伴う痙攣にも注意する必要がある。

著者(発表者)
山本冴華ほか
所属施設名
慶應大薬ほか
表題(演題)
リネゾリドにより低ナトリウム血症から痙攣を発症した患者
雑誌名(学会名)
日本薬学会 第139年会 要旨集4 131 (2019)
第139年会 日本薬学会 (2019.3.20-23)

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