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インフリキシマブによる中枢神経原発リンパ増殖性疾患

2019年7月掲載

薬剤 インフリキシマブ消化器官用薬
副作用 中枢神経原発リンパ増殖性疾患
概要 30歳、男性。乾癬性関節炎に対して、7年前よりメトトレキサートの内服を開始したが、肝障害のため2ヵ月後よりインフリキシマブ500 mg/8週の投与に変更した。今回、視野異常、左頭頂部痛、意識障害ならびに痙攣を契機に施行した頭部MRIで左側頭後ろ頭葉病変を認め、悪性リンパ腫が疑われた。開頭腫瘍摘出術時に採取した病理組織像は、小型から中型の核型不整なリンパ球が脳実質内や血管周囲に密に増殖するB/T細胞混在のlymphoproliferative disorder(LPD)であり、EBER-ISHは陰性、B/T細胞ともに遺伝子再構成を認めず、治療歴より other iatrogenic immunodeficiency associated (OIIA)-LPDと診断された。プレドニゾロン65 mg(1 mg/kg IBW)の内服を開始し、病変の縮小に伴い、徐々に減量した。以後、再燃なく経過している。

監修者コメント

抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤であるインフリキシマブ(レミケード®️)は、関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬などの治療薬として広く使用されている。本症例では、乾癬性関節炎に対し、インフリキシマブの投与を開始したところ、中枢神経原発のリンパ増殖性疾患(OIIA-LPD)を発症した。メトトレキサートに関連した中枢神経原発のOIIA-LPDはこれまでにも報告があるが、インフリキシマブでは稀である。また、その予後は不良と報告されているが、本症例では副腎皮質ステロイドが有効であったことを示しており、貴重な一例といえる。

著者(発表者)
匹田祐樹ほか
所属施設名
東京逓信病院血液内科ほか
表題(演題)
インフリキシマブ関連中枢神経原発リンパ増殖性疾患の1例
雑誌名(学会名)
第649回 日本内科学会関東地方会 43 (2019)
第649回 日本内科学会関東地方会 (2019.3.2)

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