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レゴラフェニブによる急性膵炎

2019年6月掲載

薬剤 レゴラフェニブ腫瘍用薬
副作用 急性膵炎
概要 40代、男性。ソラフェニブで病勢増悪が認められた進行肝細胞がんに対し、2次治療としてソラフェニブ中止15日後よりレゴラフェニブを導入したところ、服用開始3日目に急性膵炎で入院となった。強い心窩部痛を訴えていたものの、炎症は膵頭部に限局しており、酢酸リンゲル液による輸液負荷、ペンタゾシンによる除痛を中心とした保存的治療により重症化することなく軽快した。本症例ではアルコール、胆石などほかの原因による膵炎を否定できる状況であったことから、レゴラフェニブによる薬剤性膵炎であると考えられた。

監修者コメント

レゴラフェニブは、血管内皮増殖因子受容体や血小板由来増殖因子受容体などに作用して抗腫瘍効果を発揮するマルチキナーゼ阻害薬である。本症例では、進行性肝細胞がんに対するレゴラフェニブの服用開始直後に急性膵炎を発症しており、他の原因が否定されたことから、本剤による薬剤性膵炎が示唆された。稀ではあるが、本剤の使用により急性膵炎を発症する可能性があり、腹痛などの症状を認めた場合には急性膵炎の合併も考慮し、適切な処置を行う必要がある。

著者(発表者)
近藤有ほか
所属施設名
JA愛知厚生連豊田厚生病院薬剤部ほか
表題(演題)
レゴラフェニブにより薬剤性急性膵炎を発症した1例
雑誌名(学会名)
日本病院薬剤師会雑誌 54(12) 1483-1487 (2018.12)

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