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メトトレキサートによる間質性腎炎

2019年5月掲載

薬剤 メトトレキサート腫瘍用薬
副作用 間質性腎炎
概要 68歳、男性。蜂窩織炎を合併した中枢神経原発悪性リンパ腫に対し、3日間のセフカペンピボキシル(CFPN-PI)内服後に、大量メトトレキサート(MTX)療法を施行した。投与2時間半後に発熱をきたし、血清クレアチニン値と炎症反応の上昇を認めた。MTXによる急性腎不全と感染症の合併を疑ったが、感染源は明らかでなく抗生剤も無効であった。ガリウムシンチグラフィでの両側腎への集積と尿中好酸球の増加、被疑薬と考えられたCFPN-PIとMTXの薬剤リンパ球刺激試験でのMTXへの陽性反応を認めた。以上の検査結果より、MTXによるアレルギー性機序による急性間質性腎炎(AIN)が考えられた。MTXの再投与は危険と考え、全脳照射と局所照射を施行し、寛解を得た。

監修者コメント

MTX投与後に発熱と腎障害をきたした中枢神経原発悪性リンパ腫の1例である。これまで、MTXによる急性腎障害は、直接毒性による中毒性腎障害や結晶形成、結石形成による尿路閉塞性腎障害などが考えられていたが、本文献では、MTXに対するアレルギー性の機序からAINを引き起こした症例を初めて報告しており、貴重な症例と言える。本薬剤の投与中は定期的に腎機能の経過観察を行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うことが重要である。

著者(発表者)
三宅 勇平ほか
所属施設名
埼玉医科大学国際医療センター脳神経外科/脳脊髄腫瘍科ほか
表題(演題)
メトトレキサート投与後に急性間質性腎炎をきたした中枢神経原発悪性リンパ腫の1例
雑誌名(学会名)
脳神経外科ジャーナル 27(11) 847-851 (2018.11)

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