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ペムブロリズマブによる自己免疫性膵炎

2019年5月掲載

薬剤 ペムブロリズマブ腫瘍用薬
副作用 自己免疫性膵炎
概要 46歳、男性。右上葉肺腺癌と診断され、一次治療としてペムブロリズマブの投与を開始した。腫瘍縮小効果は見られたが、6コース目の投与後から上腹部痛が出現し、救急外来を受診した。膵臓のソーセージ様のびまん性腫大と血中アミラーゼ、リパーゼの上昇を認め、病歴からペムブロリズマブによる膵炎が疑われた。ただちにペムブロリズマブの投与を中止し、禁食補液(2 L/日)とメチルプレドニゾロン60 mg/日で加療を開始した。IgG4の上昇は認められなかったものの、画像所見、ステロイド反応性の経過は自己免疫性膵炎に類似していた。3週間ほどで症状ならびに膵臓腫大やアミラーゼ値は正常値まで改善し、第21病日に退院となった。

監修者コメント

免疫チェックポイント阻害剤であるペムブロリズマブ(キイトルーダ®︎)の投与による免疫関連有害事象と考えられる膵炎を発症した非小細胞肺癌の1例である。自己免疫性膵炎の診断基準の1つであるIgG4の上昇は認められなかったが、画像所見やステロイド反応性の経過が自己免疫性膵炎に類似していた。稀ではあるが、本薬剤の投与により膵炎を発症することがあるため、上腹部痛などの症状を認めた場合には膵炎の合併を考慮し、適切な処置を行う必要がある。

著者(発表者)
笠原千夏ほか
所属施設名
独立行政法人労働者健康安全機構中部労災病院呼吸器内科ほか
表題(演題)
自己免疫性膵炎に類似した経過を辿ったペムブロリズマブ療法後の非小細胞肺癌の1例
雑誌名(学会名)
肺癌 58(5) 344-348 (2018.10)
第113回 日本呼吸器学会東海地方学会

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