せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > リスペリドン(リスパダール®️)による肺塞栓症

リスペリドン(リスパダール®️)による肺塞栓症

2019年4月掲載

薬剤 リスペリドン中枢神経用薬
副作用 肺塞栓症
概要 40歳、男性。統合失調症で向精神病薬を内服していた。今回、急性薬物中毒で入院し、精神病院に転院した6日後から38℃の発熱と酸素化低下を認めた。来院後BP 89/46 mmHgと血圧低下傾向となり、心エコーにて右室内2 cm大の血栓・左室圧排を認め、肺塞栓症が疑われた。ショック評価中に心停止に至り、VA-ECMOを挿入後ICU入室となった。第1病日にtPA施行後、徐々に肺循環ならびに心拍出量が改善し、第30病日に退院となった。元々向精神病薬を内服しており血栓傾向は認めていたが、リスペリドン(リスパダール®️)筋注による肺塞栓症のリスク上昇が疑われた。

監修者コメント

統合失調症に対するリスパダール®️の筋注による肺塞栓症が疑われた一例である。本薬剤の添付文書にも重大な服用として肺塞栓症が記載されており、注意喚起されている。稀な副作用ではあるが、本薬剤の投与中は経過観察を十分に行い、胸痛や息切れなどの症状を認めた場合には、本合併症も念頭に置き、適切な処置を行う必要がある。

著者(発表者)
喜久山紘太ほか
所属施設名
浦添総合病院救急集中治療部
表題(演題)
心停止に至った肺塞栓症のリスクとしてリスパダール筋注が考慮された一例
雑誌名(学会名)
日本救急医学会雑誌 29 (10) 530 (2018.10)
第46回 日本救急医学会総会・学術集会 (2018.11.19-21)

新着文献 一覧

PAGETOP