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シクロスポリンによる低カリウム血症

2013年11月掲載

薬剤 シクロスポリンその他の代謝性医薬品
副作用 低カリウム血症
概要 6歳、男児。2歳時に抵抗性ネフローゼ症候群を発症し、シクロスポリンの投与を開始した。10ヵ月後に寛解したが、その後ステロイド依存性ネフローゼ症候群となり、シクロスポリン血中濃度200~300mg/mLで継続した。6歳時、再発を契機に急性腎障害となったが、寛解し腎機能は回復した。その後、腹痛を主訴に再診し、低K血症(K 2.9mEq/L)と代謝性アルカローシスを認め入院となった。入院時検査ではレニン活性98pg/mL、アルドステロン625pg/mLと上昇し、TTKG9.7(>4.0)とアルドステロンの作用亢進が考えられた。シクロスポリン血中濃度は816ng/mLと上昇していた。血清K値はK補充、シクロスポリン減量後に正常化した。

監修者コメント

免疫抑制剤であるシクロスポリンの副作用として腎毒性があるが、その場合遠位尿細管のアルドステロンへの反応性低下による高K血症を呈することが多い。本症例ではステロイド依存性、抵抗性ネフローゼ症候群に対してシクロスポリンを投与していたが、再発を契機に急性腎障害となり、その回復期に低K血症および代謝性アルカローシスを認めた。シクロスポリンの血中濃度上昇によるレニン・アルドステロン産生の亢進により、尿細管からのK分泌が増加し、低K血症を来したと考えられる。尿細管障害を伴う患者へのシクロスポリンの使用時は高K血症だけでなく低K血症にも注意する必要がある。

著者(発表者)
岡田麻理ほか
所属施設名
国立成育医療研究センター腎臓・リウマチ・膠原病科ほか
表題(演題)
シクロスポリンの血中濃度上昇に伴い低カリウム血症を呈した一例
雑誌名(学会名)
第35回 日本小児体液研究会 プログラム・抄録集 13 (2013)
第35回 日本小児体液研究会 (2013.9.14)

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