ルビプロストンによる偽性Bartter症候群
2019年2月掲載
薬剤 | ルビプロストン消化器官用薬 |
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副作用 | 偽性Bartter症候群 |
概要 | 28歳、女性。20歳頃から下痢と便秘を繰り返し、漢方薬や下剤が処方されていた。1年ほど前からルビプロストンが追加され、便秘は改善傾向にあったが、嘔気嘔吐を主訴に受診し、入院となった。採血では、脱水、低Na、低K、低Cl血症、代謝性アルカローシスとレニン、アルドステロン高値を認め、精査のため転科となった。補液によりレニン、アルドステロンは低下傾向であったが、低K血症と嘔気嘔吐の改善は乏しかった。嘔吐と下痢に伴う脱水、塩類喪失がRAA系を亢進させ低カリウム血症を助長した偽性Bratter症候群と考えられ、被疑薬としてルビプロストンを中止したところ、症状は改善した。 |
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偽性Bartter症候群は嘔吐・下痢、利尿薬や下剤の頻用による低K血症や代謝性アルカローシスを特徴とし、遺伝性疾患であるBartter症候群と同様の臨床症状を呈する病態である。本症例では、Cl排泄型の緩下剤であるルビプロストンの内服により偽性Bartter症候群を発症した。本薬剤による副作用は少ないとされているが、本症例のように比較的稀な副作用が起こりうるため、注意が必要である。
- 著者(発表者)
- 稲川慎哉ほか
- 所属施設名
- 富山大学附属病院第一内科ほか
- 表題(演題)
- 下剤変更を契機に改善した若年者の偽性Bartter症候群の1例
- 雑誌名(学会名)
- 第236回 日本内科学会北陸地方会 21 (2018)
第236回 日本内科学会北陸地方会 (2018.9.30)
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