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ドセタキセルによる黄斑浮腫

2013年10月掲載

薬剤 ドセタキセル水和物腫瘍用薬
副作用 黄斑浮腫
概要 58歳、男性。5年前から前立腺癌に対して、ドセタキセル、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、エストラムチンリン酸エステルナトリウム水和物による3剤併用療法を開始した。従来から使用していたリュープロレリン酢酸塩の毎月の投与は継続した。1年前から右眼の視力低下が出現し、翌年に当科に紹介となった。初診時の右眼矯正視力は0.2で、嚢胞様黄斑浮腫がみられた。ドセタキセルによる黄斑浮腫が疑われたが、癌治療のため中止は困難であり、アセタゾラミドの内服を試みたところ浮腫は軽減した。ドセタキセルの全身的副作用により投薬を中止したところ浮腫は消失し、矯正視力も1.0に改善した。

監修者コメント

ドセタキセル(タキソテール®)は乳癌、肺癌、前立腺癌などの化学療法に用いられているが、本症例では前立腺癌に対しドセタキセルを含むレジメンにて治療を行ったところ、右眼の視力低下と共に片眼性黄斑浮腫を生じた。同じくタキサン系抗癌剤であるパクリタキセル(タキソール®)による黄斑浮腫の報告は散見されるが、ドセタキセルによる黄斑浮腫は稀である。タキサン系抗癌剤の使用時には黄斑浮腫を生じる可能性があり、眼科医のみならず腫瘍専門医も念頭に置かねばならない合併症の一つである。

著者(発表者)
権藤さやかほか
所属施設名
東京医科大学眼科ほか
表題(演題)
前立腺癌に対するドセタキセル療法中に片眼性黄斑浮腫を生じた1例
雑誌名(学会名)
臨床眼科紀要 6(8) 663-667 (2013.8)
第51回 日本網膜硝子体学会総会 (2012.11.30-12.2)

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